2009年06月15日

パワハラを訴えたことを理由とする解雇が無効とされた裁判

最近は、セクシャルハラスメントのほかにパワーハラスメントも問題視されるようになってきています。

パワーハラスメントというのは、権限を笠に着たいじめやいやがらせのことです。

役職者から部下に対してなされることが多い訳ですが、部下の側からすると、どんな無理難題でも上司の命令には逆らえないと感じてしまうのではないでしょうか。

ただ、正当な権限行使と区分が難しいこともあり、表面化することはそれほど多くはないのかもしれません。

そうした中、パワーハラスメントを訴えたことを理由とする解雇が無効とされる判決が東京地裁でありました。

これは、骨髄バンクを運営する「骨髄移植推進財団」の元常務理事が、職員の学歴を差別したり、女性職員の電話番号を聞き出そうとした行為について、元部長が財団の理事長に報告書を提出したものです。

これを個人への中傷として、元部長を解雇したものですが、この裁判では「問題行動が存在したことは明らか。報告書には真実性があり、個人への中傷とは言えない」として、元常務理事にパワーハラスメントがあったことを認めました。

そのうえで、解雇には理由がないとしています。

前述したように、パワーハラスメントは正当な権利行使と見分けがつきにくいこともあり、その判断が難しいのは事実です。

ただ、これを放置することは会社という組織を崩壊させるおそれがあることに留意が必要かもしれません。

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2009年06月03日

非正社員に対する雇用の安全網が強化される

派遣切りが問題になったのは、景気が急激に落ち込み始めた昨年の暮れからです。これは契約打ち切りということですが、契約が打ち切られても、失業給付が受けられれば当面は生活に困ることはありません。

いわゆる雇用のセーフティネットということですが、この機能が、派遣社員に対しては働かないケースが見られました。

失業給付を受けるためには、一定の要件を満たす必要がありますが、派遣社員の場合には雇用期間が短い人が多く、適用を受けることができないケースもあったということです。

そこで、雇用保険の加入要件の一つであった雇用期間について1年から6カ月に短縮されることとなりました。

しかし、それでも漏れるケースもあり得ます。

そのようなことから、厚生労働省は雇用のセーフティネットを更に強化することにしたようです。

それによりますと、失業給付を受けられない人などに対して、職業訓練を条件に最大月額12万円の生活費を支給する制度を導入することにしたということです。

また、失業が長期にわたっている人についても、民間の職業紹介サービスにより就職を支援することも行われるようです。

このような仕組みがあれば、救われる派遣社員も多いのではないでしょうか。

もっとも、これで万全な対策ができたのかというと、そうとは言い切れないのではないかと思います。

雇用システムについての根本的な点から見直す必要があるような気がするのですが・・。

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2009年06月01日

申し出た希望退職は撤回できるのだろうか?

急激な景気悪化を受けて、企業は四苦八苦しています。早期の売上回復は難しい状況にあるといっていいでしょう。

こうした中で、いかにして利益を確保するかは経営にとって大きな課題ということになります。

もっとも、考え方は単純です。収入が減るのであれば、それに応じた支出を減らせばいいということです。

ただ、減らせる支出があるか、また何を減らすか、が思案のしどころということになります。

見方によれば、これも悩む必要はないのかもしれません。コストの中でも最も大きな比重を占める人件費です。

いわゆる人員削減ということになるのですが、いきなり解雇という訳にもゆきませんので、最初は穏当な希望退職を募るが一般的です。

例えば、稼働率が低下した工場閉鎖のために、そこで働いていた社員に対して希望退職者を募集するといったことです。

このようなケースで、これに応じた場合、仮に途中で工場閉鎖が中止になったとしても、希望退職しなければならないのかが問題になります。

工場を閉鎖するからというので希望退職に応じたとすれば、工場閉鎖が中止になったのであれば希望退職を撤回したいという人もいるでしょう。

このような場合、「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。」とする 民法の第95条が適用される可能性があります。

つまり、会社側に詐欺行為があったような場合には撤回が認められるということです。また工場閉鎖という経営判断の妥当性も問われることになるのではないでしょうか。

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2009年05月20日

21日から始まる裁判員制度への準備は万端か?

明日21日から、いよいよ裁判員制度が実施されることになります。裁判員制度は司法制度改革の一環として導入されたものです。

裁判員制度は、重大事件が対象とされています。裁判員に選ばれた場合、原則としてこれを拒否することはできません。

企業としては、社員が裁判員に選ばれた場合の対応を考えておく必要がありますが、東京商工会議所が昨年10月に実施したアンケート調査によると、中小企業では約6割が「特に何もしていない」と回答したようです。

確かに裁判員として選任される確率はそれほど大きくはありません。社員が選ばれたときに対応しても問題はないと考えているのかもしれません。

一方、大企業では社員数も多いことから、社員が裁判員に選ばれる確率も高くなります。鷹揚に構えている訳にもゆかないでしょう。

例えば、東芝や東京電力では新たに裁判員休暇を設けています。また、キヤノンでも裁判所に出向く3週間前までに所属長に報告し特別休暇を申請することとしています。

裁判員の対象になるのは何も正社員に限られる訳ではありません。パートタイマーや派遣社員などの非正社員も対象となります。

したがって、非正社員への対応も考慮しなければならないことになります。

パソナやアデコなどの人材派遣会社でも、一定の条件を満たす派遣社員に対しては有給の裁判員休暇を与える方針のようです。

裁判員制度の実施によって、企業活動にどれだけ影響が出るかはまだ未知数のところもありますが、何らかの対応が必要なのではないでしょうか。
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2009年05月14日

会社都合の休業で賃金を6割に減額するのは不当

景気悪化の影響を受け、雇用調整を行わざるを得ない企業は多いでしょう。雇用調整というと、すぐに人員削減を思い浮かべるかもしれませんが、残業抑制や一時休業も雇用調整の一つです。

この場合の一時休業は会社都合の休業ということになります。労働基準法では、第26条において「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」と定めています。

通常は、これに基づいて休業手当を支給しているのではないでしょうか。

しかし、民法第536条第2項では、「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない」とも定められています。

この条文によれば、労働者が請求できる賃金は100分の60ではなく全額ということになるのではないでしょうか。

これまでの裁判でも、使用者が賃金支払い義務を免れるためには一時帰休について合理的理由が必要であるとし、カットされた40%分の支払い請求が認めらたものがあります。

12日に宇都宮地裁栃木支部で行われた裁判でも、いすゞ自動車栃木工場の元期間従業員が契約期間中の賃金全額支払いを求めた仮処分申請を認め、全額支払いを命じる決定を下しています。

この裁判でも、休業日数が少なく賃金が減額されなかった正社員との待遇の違いについて両者の差別について合理性を認めることは困難と判断しました。

会社都合による休業においては、どのような場合でも賃金の100分の60を支払えばいいというものではないということです。

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2009年04月21日

裁判員制度、日雇い勤務日は辞退可能

周知のように、いよいよ来月から裁判員制度が実施されることになっています。これも司法改革制度の一つということになる訳ですが、 司法に対する国民の理解を深め信頼を高める点にそのネライがあるといえるのでしょう。

裁判員としての職務遂行は、国民の義務であり権利であるということになります。したがって、裁判員候補や裁判員に選ばれた場合、 原則としてこれを拒否することはできないこととされています。

もっとも、例外もあります。70歳以上の高年齢者や、一定の事情があると認められる場合には辞退もできることとされています。

企業の場合、社員が裁判員候補や裁判員に選ばれると業務への支障が生じることが考えられます。

このようなケースで裁判員を辞退することができるのかどうかが問題になってきます。

政令では経済上で重大な不利益が生じる場合には辞退を認めていますが、 具体的にはどのようなときかについては個別に勘案されることになるのではないでしょうか。

これについては混乱も予想されます。

そのようなことから、最高裁は裁判員制度への参加が困難な場合どをまとめた報告書を各地裁に配付したようです。

それによると、日雇い労働者の勤務予定日や派遣労働の夜勤シフトと重なる日などは選任は困難と指摘しているようです。

日雇い労働者の身分は不安定なことから、裁判員に選ばれたことを理由として仕事に就かなければ、 以後の契約に影響する点に配慮しているようです。

派遣労働者の夜勤シフトについても作業効率の低下などを理由として選任困難と判断しているようです。

ほかにも相場が乱高下している中でのトレーダー、決算期における外資系企業の財務担当者など、について参加困難としています。

自社の社員が裁判員に選ばれた場合に辞退が可能かどうかを判断する際の参考になるかもしれません。

 

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2009年04月16日

育児介護休業法がワークライフバランスに配慮した方向で改正の予定

急激な景気の落ち込みを受けて多くの企業が雇用調整を行っています。 昨年から問題視されてきた派遣切りもその一つということになるでしょう。

派遣切りは、マスコミでも大きくとりあげられたことから広く知られることとなりましたが、同じように行われていたのが育休切りです。

こちらは派遣切りほどマスコミで取り上げられていないことから、あまり知られていないかもしれません。

厚生労働省によると、育児休業を取得したことを理由とする不当な取扱いに関する相談件数は2月までに1,107件もあり、 前年の882件を大きく上回っています。

このようなこともあり、育休切りに対する罰則を強化する方向で法律を改正することにしたようです。

それによると、企業名の公表や資料提出に応じない事業主に対して20万円以下の過料とすることを検討しているとのことです。

また、3歳未満の子を養育している親が申請した場合には残業を免除することも盛り込まれているようです。

そのほか、就業時間を短縮する短時間勤務制度をすべての企業に義務づけることも考えられているようです。

こうした内容の法案を21日に閣議決定したうえで、国会に提出する予定だということです。

ワークライフバランスに配慮した法律改正ということになるのではないでしょうか。

 

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2009年03月26日

雇用維持に向けた新しい施策

派遣切りや期間雇用者の契約打ち切りが相次ぐなど、雇用情勢は悪化の傾向を強めています。これをそのまま放置しておけば、景気は更に落ち込むことが予想されます。

当然、これを黙って見逃す訳にはゆかないでしょう。

景気悪化に伴う事業縮小のために、期間雇用者の契約打ち切りや社員の解雇を検討しなければならないところまで追い込まれている企業も多いはずです。

このような場合、一時休業を行うなどの方策により雇用を維持することも考えられますが、会社側の理由により休業を行うときは休業手当を支払わなければなりません。

この負担を軽減するために設けられているのが雇用調整助成金です。また、昨年の12月からはこれを拡充した形で中小企業緊急雇用安定助成金も設けられています。

いずれも、企業経営が悪化した場合に休業手当相当額の一部について受給できるものです。

これによって、企業の負担を少なくし、雇用維持を図ってもらおうというのがネライということになります。

報道によれば、厚生労働省は更に追加雇用対策を検討しているということです。

それによれば、雇用調整助成金をこれまでより引き上げる措置をとるとともに、ワークシェアリングを導入した企業への助成制度を新たに導入するようです。

雇用調整助成金については、従来大企業で休業手当相当額の3分の2、中小企業で5分の4とされていましたが、大企業では4分の3、中小企業では90%まで引き上げるということです。

助成金はただでもらえるものですので、資金的に困っているのであれば、これを活用することを検討してみるべきではないでしょうか。


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2009年03月23日

職種限定契約があれば職種異動はできないか?

会社と社員の間には労働契約が締結されています。一般的には、契約の内容を細かく決めていることはないのではないでしょうか。

アメリカのような契約社会でない日本では、労働契約を締結する場合にもあいあまいな条件になっていることが多いと言えるでしょう。

何も問題が起きることがなければ、それでもいいのでしょう。また、お互いの信頼関係が続いていれば問題が起きることも少ないのではないかと思います。

ただ、会社と社員の間で労働契約の条件についての思い違いが生じたときはトラブルになる可能性があります。

例えば、人事異動は普通に行われていると思いますが、労働契約の内容によっては異動に制限がつくこともあります。

これは地域を限定して採用された場合や職種を限定して採用されたような場合です。こうした特約があれば、これに拘束されるということです。

特殊な技術を必要とする専門職のようなケースでは、そうしたことがあり得るのではないでしょうか。

ただ、こうした特約を根拠として異動を拒否するには契約書に記載するなど明確な形になっていることが必要でしょう。

そうした契約書があれば本人の同意なく異動を命じることはできないということになります。

もっとも、そうした契約書があれば同意なしの異動はできないのかというと、そうでもないようです。

最近の裁判では職種限定合意があったケースで本人の同意なしの職種変更を有効とする判決をしたものもあります。

最終的な判断は、個別の状況によるといえるかもしれません。
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2009年03月19日

名ばかり管理職1000万円支払いで和解

社内的には管理職だけれども、実質的には労基法で定める管理監督者ではないという名ばかり管理職の問題が注目されたのは昨年です。

大手飲食店の店長が、未払い残業代を支払えと裁判を起こしたのがきっかけでしたが、この裁判では、店長の主張を認める判決を下していました。

会社側は控訴をしていましたが、このほど和解が成立したということです。

それによると、店長が管理監督者には該当しないということを会社側が認め、未払いだった残業代を支払うことになったようです。

未払い残業代は、裁判で支払いを命じた約755万円に提訴後に生じた約245万円を加算したおよそ1000万円になるとのことです。

これは大きな金額ですが、会社としてはこれ以上問題を長引かせたくなかったのでしょう。すでに店長については残業代を支払う形で制度変更もしています。

そういう意味では、訴えた店長側の言い分をすべて飲んだ形になるのではないでしょうか。

このような場合、訴えた店長が今後不利益を被るおそれが考えられます。今回の和解では、これについても、店長からの降格や配置転換、減給処分は行わないことを明確にしているようです。

この和解により、名ばかり管理職の問題についての方向性が見えてきたといえるのではないでしょうか。

管理監督者性については、まだ争点があるのは事実ですが、これを契機に実態に基づく扱いをする企業が増えるのではないかと思います。
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2009年03月17日

育児休業を巡る不利益取扱いの相談件数が急増

育児介護休業法では、子が満1歳(一定の要件を満たした場合は1歳6カ月まで)になるまで育児休業を取得することができるとされています。

たいていの会社では、これに基づいて育児休業制度を導入しているのではないかと思います。

子を持つ親にしてみれば、安心して子育てができるという安心感につながる仕組みといえるでしょう。

一方の企業側からすると、育児休業中は代替社員を雇用しなければならないなどの負担が重くなるというデメリットがあります。

できれば、育児休業を取得するような社員は雇いたくないというのがホンネかもしれません。

このように育児休業については、企業側と労働者側には対立する利害があるということになります。

そのようなこともあり、育児介護休業法で育児休業を申し出たり育児休業を取得したりしたことを理由とする不利益取扱いは禁止されているところです。

にもかかわらず、現実にはそうした行為が行われていることは珍しいことではないのではないでしょうか。

なおかつ、昨今のような景気情勢では育児休業者に復職してもらう必要はないと考える経営者がいてもおかしくはありません。

事実、これに関する相談件数が増加しているようです。厚生労働省の調査によると、2008年度における育児休業を巡る不利益取扱いに関する相談件数は2月末までに1,107件で、前年度の882件の1.4倍にのぼっているとのことです。

企業経営の立場にたてば、そうせざるを得ないという状況もあるのかもしれませんが、人を大事に扱わない経営をしていると企業の将来に禍根を残すことになるのではないでしょうか。そのあたりを考える必要があるでしょう。

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2009年02月27日

派遣切りの違約金を国が肩代わりすることを検討

民法では期間を定めて雇用している場合、途中での契約解除にはやむを得ない理由がなければならないとされているところです。

同様に労働契約法でも、第17条第1項において「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」としています。

したがって、期間途中での契約解除は原則的にはできないということになります。

また、解雇する場合、労働基準法では30日前までに予告するか30日分以上の解雇予告手当の支払いを義務づけています。

このようなことから、派遣契約においては、派遣先の事情によって派遣契約を打ちきる場合は、関連会社などにおいて派遣社員を受け入れるようにするか30日以上前までに契約解除の通知をしなければならないとされています。

そして、そうした措置がとれなければ賃金の30日分以上の違約金を支払うことを派遣先に課しています。

これは法律ではなく指針のため、現実にはそのような措置がとられていないことも多いのではないでしょうか。それが派遣社員にしわよせされているともいえます。

そこで、政府はこの違約金について肩代わりすることを検討しているということです。

間接的ではありますが、これによって契約途中で打ちきられた派遣社員の生活を守ろうということでしょう。これも窮余の一策かもしれません。


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2009年02月24日

労基法改正に伴う年休を時間単位で付与する場合の要件


改正労働基準法は、平成22年4月からの施行となっています。周知のように、今回の改正は割増賃金の引き上げと年次有給休暇の時間単位での付与を認めるものです。

割増賃金の引き上げは、長時間労働を抑制するための施策です。割増賃金を引き上げれば、残業が少なくなるだろうということです。

今回の改正では60時間を超えた場合に50%以上の割増率となっています。45時間〜60時間の残業についても一定の基準が示されることになるのではないでしょうか。

一方の年次有給休暇の時間単位での付与については、労働者側からの時間単位で取得することについての要望に配慮したものといえるかもしれません。

例えば、私用でどこかに立ち寄ってから出社するといった便利な使い方ができるということになります。

この場合、時間単位で取得できるのは5日までとされているところです。また、次の事項について労使協定を締結することが付与要件とされています。

1.時間休暇を与えることができるとされる労働者の範囲

2.時間休暇として与えることができることとされる有給休暇の日数

3.その他厚生労働省令で定める事項

したがって、これらについて労使協定で定めることが必要だということになります。

このように、時間単位で取得できることは労働者の側にとっては便利といえますが、会社側からすると遅刻したときに悪用されるおそれがあるともいえます。このあたりの対応を検討しておく必要があるかもしれません。
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2009年02月23日

期間雇用者の雇い止め制限へ

昨年暮れからマスコミで大きく取り上げられたのが派遣切りです。 製造業向けの派遣社員が契約期間の満了を待たずに契約を打ちきられたことが問題視された訳です。

派遣先と派遣元の間は通常の商取引ですから、期間途中での契約解除というのはあり得るでしょう。

それに対しては、当然損害賠償請求ができる訳ですが、 派遣先との関係が悪化することを恐れてそうした措置をとらない派遣元が多かったのではないでしょうか。

一方、派遣元と派遣社員の間は有期雇用契約ということになりますが、 契約途中での解約についてはやむを得ない理由を必要とするところです。

派遣先からの契約打ち切りがこれに該当するかということになりますが、これは難しいのではないでしょうか。

もっとも、そうした知識を持っている派遣社員は少ないでしょうから、派遣元のいうまま契約解除を受け入れた人も多いでしょう。 それによって住居を失うことになりマスコミでも問題視されたということです。

そのようなことから、派遣のあり方について見直しが検討されているのは周知のとおりです。

これに加えて、厚生労働省では有期契約社員の雇い止めについて規制することを考えているようです。また、 有期契約期間の上限である3年についても見直しを検討しているということです。

このような状況になれば、やはり何らかの措置が必要だということでしょう。検討の結果がどのようになるか分かりませんが、 その推移を気にかけておくべきでしょう。

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2008年11月27日

障害者雇用はまだ道なかば

障害者雇用促進法によれば、従業員56人以上の企業では、障害者を1.8%以上雇用しなければならないとされています。

これを遵守している企業はどの程度あるのでしょうか。厚生労働省の調査によると、今年6月時点において、法定雇用率を達成している企業の割合は、44.9%だったということです。

半数近くの企業が法定雇用率を守っているということになります。記録が残る1977年以降では最高だったということです。

また雇用されている障害者の人数は325,603人となっています。前年比では7.6%の増加でした。

2005年前後から急激に障害者雇用が増加してきています。これは企業の意識の変化を表しているのかもしれません。

最近は、コンプライアンスやCSRが注目されるようになってきていますが、こうした社会的な背景も障害者雇用が増加してきている要因とも考えられます。

こうした状況は喜ばしいことといえる訳ですが、法定雇用率に達していない企業の割合はまだ半数以上あります。

法定雇用率を達成していない企業のうち、1人も雇用していない割合は、62.9%もあります。

この数字を見る限り、障害者雇用については改善の余地がおおいにあるということになるのではないでしょうか。まだ道なかばの状況といえるでしょう。

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2008年11月18日

1カ月60時間超える残業割増率50%以上で労基法改正案が成立する見込み

大手飲食業の名ばかり管理職の裁判では、店長の長時間労働が問題にされていました。

この店長に限らず、長時間労働になっている人は多いのではないでしょうか。それが、 精神疾患の発症や業務災害の発生につながっているともいえます。

そのようなこともあり、長時間労働を是正する観点から労働基準法の改正が検討されていたところです。

一つは、自らの裁量で労働時間を決めることができる自律的労働時間制です。これは、 残業代不払い法案としてマスコミでとりあげられたことから、結局改正案に盛り込むことが見送られることになりました。

もう一つは、時間外労働に対する割増率の引き上げです。残業が1カ月80時間を超える場合に50%以上に引き上げるとするものです。

この労働基準法改正案は、昨年の国会に提出されていたのですが、なかなか審議されずそのままになっていました。

それが、今国会でようやく成立する見込みになったようです。 当初は80時間を超えるとされていた部分が60時間に修正されるということです。

これで長時間労働が是正されるのかどうかは分かりませんが、労働者側からすれば一歩前進ということになるかもしれません。

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2008年11月11日

2009年問題への対応をどうするか

以前、団塊世代が定年を迎える2007年問題というのがありましたが、最近は派遣社員の2009年問題が浮上してきています。

製造業務における派遣が認められたのが2004年3月です。当初、派遣期間の上限は1年でしたが、 2007年3月からは3年に延長されています。

2007年時点で1年の派遣期間が経過していたケースで、そのまま派遣を継続していたとすれば、 上限3年の期間が2009年3月に到来することになります。

この時点で派遣社員を受け入れることができなくなるということです。これが2009年問題です。

つまり、派遣社員が担当していた業務をどうするかという、課題に直面することになるという訳です。

対応法としては、直接自社社員として雇用する、請負業務に転換する、クーリング期間をおいて再度派遣社員を使用する、 といったことが考えられます。

どれを選択するかが問われることになるということです。

請負として発注するためには、請負業務としての環境を整えなければなりません。それができないまま請負に転換すれば、 偽装請負になりかねません。

行政側のネライは、自社社員として直接雇用することにあるのでしょうが、企業としてはコスト高になるおそれもあり、 おいそれとは対応しにくいという側面があります。

企業側としては、クーリング期間を利用して再度の派遣をしたいというのがホンネではないでしょうか。この場合、 クーリング期間の間だけ直接雇用して、これが経過した後に派遣社員に戻すということになります。

ただ、これについては行政側が違法な行為が行われないよう監視を強める方針のようです。

いずれにしても2009年問題はすぐそこにあります。 製造業務に派遣社員を受け入れている企業としては早急に対応を考えなければならないといえるでしょう。

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2008年10月27日

未払い残業代272億4千2百万円!

今年初めにマスコミで取り上げられ注目されるようになった名ばかり管理職の問題は、未払い残業代の請求を訴えたものでした。

サービス残業などによる未払い残業代については以前から問題視されてきていたものですが、厚生労働省の調査によると、 2007年度は272億4千2百万円にも達したということです。

これは、労働基準監督署からの是正指導を受けて支払った金額で、過去最高だったようです。

100万円以上の未払い残業代を支払った企業は1,728社にものぼっています。この数字をみても、 サービス残業の実態が分かるというものでしょう。

対象の労働者数は179,534人で、一人当たり15万円になるということです。結構な金額といえるでしょう。

是正指導を受けた数の多かった業種は製造業で437社、続いて商業が432社などとなっています。

サービス残業の問題は以前から指摘されているにもかかわらず、 これだけ多いのは時間管理がきちんとできていない会社がまだまだあるということでしょう。

また経営者や管理者の意識の問題もあるのでしょう。成果が出るまで働くのは当然だ、と考えている経営者は多いのではないでしょうか。

これは経営者である自分の立場がそうだから、社員も同様だという発想でしょう。経営者と社員とは、 そもそもの立場からして違うという認識がないのかもしれません。

使う側と使われる側の力関係に配慮して労働基準法が定められているのです。その点の認識不足というのもあるのではないでしょうか。

週40時間、1日8時間を超えて働かせてはならない、という法律の規定を今一度再確認すべきではないかと思います。

 

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2008年10月24日

顔に傷跡が残った場合の労災補償額は逆男女差別?

男女雇用機会均等法では、性別による差別を禁止しています。したがって、男性だからとか女性だからといった理由で、 昇進や昇給で差別をつけることは許されないということになります。

これは、セクハラについても同様です。男性に対するセクハラも均等法違反ということになります。

そういう観点から考えると、男性、 女性の区分による差別というのは随分と少なくなってきているということができるのではないでしょうか。

ところが、性別による差別が妙なところで残っているようです。

これは労災保険法なのですが、顔に傷跡が残った場合の男性と女性に対する補償に違いがあるのです。

同法では、女性の顔などに著しい醜状を残すもの、は第7級の傷害等級となっています。

一方、男性の顔などに著しい醜状を残すもの、は第12級の傷害等級です。

同様に、女性の顔などに醜状を残すもの、は第12級の傷害等級ですが、男性の場合には第14級となっています。

男性と女性では顔の重要性が違う、ということなのかもしれません。確かに現実問題として、女性の顔に傷が残っていると、 結婚などに影響を及ぼすでしょう。

男性の場合にはそうしたおそれは少ないということなのでしょう。

そう考えれば、そういうことになるのでしょうが、 性別による差別禁止をうたいながら微妙なところでは非合理的な判断になってしまう点については納得しがたい感想を持つ男性もいるのではないでしょうか?

実際にこれを不服として裁判に訴えている男性がいるとのことです。

こうしたことは意外と多いような気がします。どこで線を引くのかという難しさといえるのかもしれません。

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2008年10月22日

政府が社会保険料を肩代わりして正規雇用を促進

米国発の金融危機が世界を席巻しています。10月に入ってからの株価下落は大恐慌以来とも言われているところです。

景気にも急ブレーキがかかり、企業業績も悪化傾向が鮮明になってきました。また、この状況は長期にわたりそうな気配です。

当然、雇用にも影響してきます。既に、企業の採用意欲が減退してきており、 ことに期間雇用の多い非正社員の場合には期間満了で契約を終了させられることが増えてきているとのことです。

こうした中、政府は身分の不安定な非正規雇用から正規雇用への転換を促進するための措置をとることにしたようです。

これは、事業主が負担する社会保険料を政府が肩代わりするものです。 前述したような景気悪化が進む状況ではなかなか正規雇用をする余裕はないというのが実情でしょう。

そこで、事業主の負担を少しでもやわらげて正規雇用を促進したいというのが政府のネライということではないでしょうか。

一人当たりで年間50万円を補助するという計画のようです。年間1000億円の予算を計上し、 これで20万人の正規雇用化を図るということです。

これは、これで一つの方策ということにはなるのでしょうが、現在の環境が環境だけに、 ネライどおりの効果があがるのか不透明な点があるような気がします。

posted by 人事診断士 at 07:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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