2013年03月28日

タクシー会社社長の暴言をパワハラと認定(東京地裁判決)

最近は、いじめや嫌がらせ等のパワーハラスメントが問題になってきています。

柔道連盟の監督の暴言、暴行がマスコミでも取り上げられましたが、会社の中でも指導という名のもとでパワーハラスメントが行われることもあるのではないでしょうか。

指導なのかパワハラにあたるのか、はなかなか難しい側面があるように思います。正当な指導がパワハラということになれば、組織運営にも支障が生じてくるのではないかという気がします。

そんな中、東京のタクシー会社の社長の行き過ぎた指導に対してパワハラだと訴えていた裁判で、これを認める判決が出ています。

この事案は、タクシー会社の元社員が運転する車の後部座席に社長が乗り、運転席を蹴ったり、「辞めろ、おまえ」と大声を出したりしたというものです。

これについて、会社側は指導だったと主張していたようですが、裁判では「暴行が許されないのはもちろん、威圧的な態度で『辞めろ』と繰り返し言うなど、乗務員らの人格を否定し、多大な精神的プレッシャーを与えた」と指摘しました。

そのうえで、社会的に許容される限度を明らかに逸脱しており違法だと判断したようです。

原告側は、約2,350万円の損害賠償を求めていましたが、判決では500万円の賠償支払いを命じています。

社員の指導のために、厳しい態度で接することはあり得るのではないかと思います。どこまでが指導と認められ、どこからがパワーハラスメントになるのか、どう見極めればいいのか難しいところではないでしょうか。
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2013年03月18日

マツダの「サポート社員制度」は違法(山口地裁判決)

リーマンショック以降、労働者派遣法の規制が強化されてきています。派遣社員保護のための措置といえるでしょう。

そのような観点から、労働者派遣法では、一般業務について派遣期間が3年を超えれば、直接雇用することを規定しています。

派遣業務で受け入れることができるのは、あくまで臨時的な措置であるという考え方です。

ただ、派遣先企業からすれば、なるべく長期に使いたいというのがホンネかもしれません。そのような場合はクーリング期間を設ければ、引き続き派遣社員を活用することは可能です。

もっとも、中にはこのクーリング期間さえもおきたくないと考える企業もあるようです。

マツダでも、「サポート社員制度」という形で、派遣社員を一時的に直接雇用した後、再度派遣契約をしていたようです。

広島、山口の両労働局は、これについて「実質的に派遣が3年を超えている」として是正を指導していたところです。

このやり方で働いていた元派遣社員人が、マツダに地位確認などを求めて訴訟を起こしていた判決が山口地裁でありました。

判決では、正社員として認めた、かつ雇用が続いていた場合に支払われていたはずの賃金の支払いも命じています。

マツダ側は「サポート社員と派遣を繰り返すことは労働者が自分の意思で受け入れていた。会社が意図した事実はなく、法律違反ではない」と主張したようですが、これは受け入れられませんでした。

派遣社員を派遣先企業の正社員として認める判決は異例です。今後の裁判にも影響があるのではないでしょうか。
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2013年03月07日

財務課長は管理監督者にはあたらない(広島地裁判決)

名ばかり管理職の問題がマスコミで注目されたのは、大手飲食店の店長が裁判を起こしたことがきっかけでした。

その後、流通業などでは管理職についての見直しを行い、管理監督者に該当しない者については残業代を支給するような改善が行われてきています。

飲食店や流通業では、長時間の労働になることが多く、名ばかり管理職の問題は深刻だといえます。

それ以外の業種でも、名ばかり管理職の問題が解消されている訳ではないでしょう。

実態と異なる取扱いがなされているケースはまだまだあるというのが実情ではないでしょうか。

そんな中、大学における財務課長は管理監督者ではないとして約520万円の未払い賃金の支払いを命じる判決が広島地裁でありました。

裁判では、「原告の上司として法人事務局長などが置かれ、業務の大部分で上司の決裁が必要であり、権限は限定的だ」と指摘しました。

そのうえで、出退勤時間についての裁量が限られていたことなども考慮し「権限や責任が経営者と一体というのは困難だ」と判断したとのことです。

通達では、管理監督者というのは、経営者と一体的な立場にある者をいうとされています。名称で判断する訳ではないということです。

実態として経営者と一体的立場になければ、管理監督者にはならないのです。

これは、なかなか厳しい条件ではないでしょうか。これに該当する人は限られるというのが正直なところでしょう。
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2013年03月05日

飲酒強要はパワーハラスメント(東京高裁判決)

職場におけるいじめや嫌がらせが増えてきています。いわゆるパワーハラスメントということになるでしょう。

ただ、このパワーハラスメントについての判断は難しく、厚生労働省がいくつかの類型を示しているところです。

正当な権限行使とパワーハラスメントについての境界が、それだけ分かりにくいということではないでしょうか。

そんな中、東京高裁において飲酒強要はパワーハラスメントにあたると認定し賠償命令をくだす判決がありました。

この裁判は、ホテル運営会社の元社員がパワハラを受けたとして会社と元上司に損害賠償などを求めていたものです。

この元社員は、2008年5月にホテル付近の居酒屋で、元上司から飲酒を強要され、また携帯の留守番電話に「ぶっ殺す」と吹き込まれたりして、休職後退職していました。

元社員は、極めてアルコールに弱い体質で、少量の酒を飲んだだけで嘔吐するような状況だったようですが、元上司は「吐けば飲める」と言って執拗に酒を強要していたということです。

酒席ではよくありそうな事ですが、裁判ではこれについて「単なる迷惑行為にとどまらず違法。元社員の肉体的、精神的苦痛は軽視できない」と指摘してパワーハラスメントにあたると認定しました。

飲酒強要は不法行為であるとし、そのうえで150万円の支払いを命じています。

お酒の場でもいじめ嫌がらせになるということです。お酒の好きな人は留意すべきことではないでしょうか。
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2012年11月08日

請負社員から期間雇用への転換社員の雇い止めは有効(大阪地裁判決)

偽装請負の問題が注目されたのは、つい数年前です。これに対応する形で、請負から直接雇用へと転換した企業も多いでしょう。

この場合、直接雇用するといっても正社員ということではなく、期間雇用としての契約への転換というのがほとんどではなかったかと思います。

これで、偽装請負の問題を避けることはできた訳ですが、次に問題になってくるのが期間雇用者の扱いです。

期間雇用ですから、期間満了で契約が終了すれば、そこで雇用は打ち切られるということになります。

たぶん期間雇用者としては、それでは納得できないということもあるかもしれません。それが訴訟になる可能性もあります。

1日に大阪地裁で判決があった事案も、この雇い止めが争われたものです。

裁判所は、「解雇手続きを踏まずに期間満了によって契約が終了する点に着目し有期雇用契約を申し込んだにすぎない。解雇権乱用とはいえない」として原告の訴えを棄却しています。

この事案は、ダイキン工業堺製作所に6年〜18年間請負社員として働いていた4人が起こした訴訟です。

2007年12月に大阪労働局から「偽装請負」として是正指導を受け、2008年3月から期限付きで雇用していたものです。

この契約に基づき2010年8月をもって契約を更新しなかったために、有期雇用契約に上限を定め更新を拒否したのは、実質的な解雇権乱用だとして訴訟になっていました。

期間雇用はあくまで期間雇用ですから、不当な取扱いがなければ期間満了で契約が終了するのは当然といえば当然ということになるでしょう。
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2012年10月11日

能力不足による解雇は無効(東京地裁)

社員を採用しても、期待した能力がなければ会社としては対応に困ることになるのではないでしょうか。

新入社員であれば、育成ということを考えるのでしょうが、中途採用ということになれば能力不足ということで辞めてもらいたいのが正直なところでしょう。

しかし、解雇するということになると簡単ではありません。周知のように労働契約法では、合理的、客観的でなおかつ社会通念上相当な理由がなければならないとしています。

能力不足がこれに該当することになるのかというと、難しいというのが実情ではないでしょうか。

10月5日に東京地裁であった判決でも、それが分かります。

この事案は、ブルームバーグ東京支局の元記者の日本人男性が、地位確認や賃金支払いを求めて起こした訴訟です。

この男性は、2005年11月に中途採用され、2009年12月以降、週1本の独自記事や、月1本の編集局長賞級の記事などを要求する「業績改善プラン」に取り組むよう命じられたということです。

しかし、記事本数が少なく、また記事の質が低いことから2010年8月に解雇されたものです。

これについて、裁判所は「労働契約の継続を期待できないほど重大だったとはいえず、会社側が記者と問題意識を共有した上で改善を図ったとも認められない」と指摘しました。

そのうえで、「解雇理由に客観的な合理性はない」と判示しています。

成果が求められる昨今、能力が求められるのは当然でしょうが、それを測るモノサシがきちんとしていないと能力不足は認められない可能性が高いということです。

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2012年10月09日

長時間労働による自殺で約7000万円の支払い命令(甲府地裁)

企業にとって長時間労働が大きな課題となってきています。これが原因となってうつ病などの精神疾患を発症するケースもあるからです。

そのようなことから、適正な労働時間を確保することが求められているといえるでしょう。

企業の側でも注意はしているのでしょうが、業務上の必要性から長時間労働に陥っていることもあるのではないでしょうか。

これを放置しておくと、トラブルに巻き込まれることになります。

このほど、甲府地裁で行われた裁判でも、長時間労働が自殺の原因だったとして日本赤十字社に対して約7,000万円の支払いを命じています。

このケースは、山梨赤十字病院に勤務していた介護職員の男性がうつ病を発症して2007年4月に自殺をしたものです。

これについて、労働基準監督署は2009年12月に、うつ病発症が自殺原因として労災認定をしていました。

裁判でも、自殺直前1カ月の時間外労働が約166時間あったと認定し、「過重な時間外労働や精神的負荷が重なりうつ病を発症したと考えられ、業務と自殺に因果関係が認められる」と指摘しました。

これに対して、病院側は、「うつ病を発症していたとしても予見できなかった」と主張していたようですが、判決では「心身の健康に配慮し、支援体制を整える注意義務を怠った」と認定しています。

企業としては、長時間労働を放置せず、何らかの時間短縮の措置をとる必要があるといえるでしょう。

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2012年08月31日

飲酒運転にる追突事故で懲戒免職、退職金全額不支給は適法(大阪高裁判決)

幼い子3人が無くなった飲酒運転による交通事故をきっかけに、飲酒運転に対する社会的批判が高まってきているのは周知のとおりです。

それでも、飲酒運転はなくなりません。これをゼロにするのは、難しいというのが実情かもしれません。

とはいえ、何らかの対策は必要でしょう。企業においても、飲酒運転防止に向けた取り組みをしているところは多いでしょう。

社員が飲酒運転をした場合、懲戒処分の対象にしているところもあるのではないでしょうか。

ただ、一般の企業においては飲酒運転のみを理由として懲戒解雇するのは難しいのではないかと思います。懲戒事由と懲戒処分のバランスが求められるからです。

一方、公務員の場合には一般の企業とは異なり懲戒免職処分とすることもあるようです。

このとき、退職金がどのようになるのか問題になることもあるでしょう。

大阪高裁で24日に判決のあった事案は、飲酒運転により追突事故を起こした中学校の教頭が、退職金の全額不支給処分の取り消しを求めた訴訟でした。

一審判決は、原告側の勝訴となり全額不支給が取り消されていました。

しかし、大阪高裁の控訴審では、これを取り消し原告の請求を棄却しています。

裁判では、「飲酒運転の内容は極めて悪質・危険で、これに対する非難は大きく、公教育全体に対する信頼を失墜させた」とし、「学校教育に貢献し、勤務状況が良好だったことを考えても、処分に裁量権の乱用があったとはいえない」と判示しています。
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2012年05月09日

パワハラで慰謝料110万円

パワーハラスメントについては、厚生労働省からその類型が公表されていることは周知のとおりです。

この類的によると、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害、の6つがあるとされています。

これらに該当する行為があればパワーハラスメントになるということでしょう。

このほど、岡山地裁でパワーハラスメントに関する裁判がありましたが、この事案は精神的な攻撃を対象としたものといえるでしょう。

これは、トマト銀行の元行員がパワハラにより退職を余儀なくされたとして、同行と上司に計約4,900万円の損害賠償を求めていたものです。

裁判では、「上司の叱責は、脊髄の病気などの療養から復帰直後の原告にとって精神的に厳しく、パワハラに該当する」と認定しました。

原告は、2007年頃、仕事上のミスを理由に当時の上司から「辞めてしまえ」などと強い言動で責められるなどしたようです。

そのため、2009年に辞表を提出して会社を退職した訳ですが、パワハラで退職していなかったならば受け取れたはずの賃金について賠償を求めたものです。

パワハラについては、前述したように認定をしましたが、退職との因果関係は認めず、働き続けていれば得られた利益の請求分は否定されています。

結局、慰謝料分としての110万円についてだけ支払いを認める判決となりました。
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2012年04月05日

強制わいせつ致傷罪で有罪判決社員へ退職金支給命令(東京地裁)

退職金の取扱いについては、通常は退職金規定に定めがあるでしょう。自己都合退職が会社都合退職かで支給率が違う形になっているのが一般的ではないかと思います。

また、懲戒解雇されたような場合には、退職金を支給しない旨の規定を置いていることが多いのではないでしょうか。

ただ、退職金の全額不支給というのは、よほどのことがない限り認められないというのがこれまでの裁判での結果です。

NTT東日本の社員が、強制わいせつ致傷罪で有罪判決を受けた後に退職した事案で、会社側は社内規定に基づき「懲戒解雇や諭旨解雇に当たると考えられる非行」として退職金を全額支給しなかったようです。

これに対して、社員が退職金不支給は不当として、同社に約1,300万円の支払いを求めた訴訟の判決が3月30日に東京地裁でありました。

裁判では、「あくまで私生活上の非行でNTT東の業務に支障が生じたと認める証拠はない」と指摘しています。

そのうえで、「約22年間勤めた功労を全て抹消できるとは言い難い」とし、約600万円の支払いを命じています。

これまでの裁判と同様、退職金の全額不支給は重すぎるとの判断だということです。

退職金の性格は周知のように、功労報償、賃金の後払い、老後補償、の3つが組み合わされたものと考えられています。

したがって、これを支給しないということは、社員にとって非常に大きい影響を与えることになります。

それなりの理由がなければ、退職金の全額不支給は認められないということでしょう。

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2012年03月30日

日本航空の整理解雇は有効(東京地裁判決)

業績が悪化した場合、コスト削減の観点から、整理解雇をすることは珍しくありません。企業が生き残ってゆくためには、やむを得ない措置といえるでしょう。

ただ、整理解雇の対象とされた労働者の側からすれば、なかなか納得できるものではないというのも事実です。

そんなことから、企業と労働者の間で裁判で争われるケースもよくあります。

経営が行き詰まった日本航空でも76名のパイロットが整理解雇され、これを不当だとして訴訟が起こされていました。

その判決が東京地裁で29日にありました。

裁判所は、この訴えに対して「整理解雇は破綻的清算を回避するために必要で、合理的に行われた」とし、原告の請求を棄却しています。

よく知られているように、整理解雇については、@人員削減の必要性、A解雇回避の努力、B対象者の選び方の合理性、C手続きの妥当性、の4つの要件が求められるとされているところです。

この裁判でも、これらについての検討がなされています。

@については、「事業規模縮小に応じて人員削減が必要だった」と判断しています。同様にAについても早期退職者を募集するなど解雇回避の努力がなされていると認めました。

また、対象者の人選についても合理的なものであり、解雇手続きも妥当であると判断をしています。

そのうえで、整理解雇は有効だったと結論づけました。

労働者の側からすれば、納得できないところがあるでしょうが、企業存続のためには仕方がないというのが現実かもしれません。

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2012年03月29日

急性アルコール中毒死は、過労が原因として会社に4,380万円の賠償命令(東京高裁判決)

周知のように、昨今は過労死が問題とされるようになってきています。それだけ、個々の社員の負担が重くなってきているということでしょう。

過労が原因になって、うつ病を発症したり、最悪のケースでは過労死を招くこともあり得るということです。

また、場合によっては仕事を忘れるために酒におぼれることもあるのではないでしょうか。深酒すれば、健康にも影響が出てくるでしょう。

23日に東京高裁で判決が下された裁判では、急性アルコール中毒で社員が死亡したのは、過労が原因だったとして会社側に4,380万円の支払いを命じています。

この事案は、月100時間を超える時間外労働や配置転換で心理的負荷が過度に蓄積、うつ病などを発症して大量に飲酒したというものです。

その結果、急性アルコール中毒で死亡したことから、遺族が会社に対して1億円の損害賠償を求めていました。

裁判では、「上司らは長時間労働を把握していたのに適切な措置を取らなかった」と会社の責任を認めています。

ただ、このケースでは「睡眠不足の解消に努めるべきだったのにブログやゲームに時間を費やした」と本人の過失もあるとしました。

そのうえで、一審の東京地裁で支払いを命じられた5.960万円からは減額をされています。
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2012年03月12日

添乗員の業務、二審ではみなし労働適用外(東京高裁)

添乗員の業務に対してみなし労働時間が適用されるのかどうか、が争われていた裁判での二審判決が東京高裁で7日にありました。

この裁判は、阪急トラベルサポートの派遣添乗員6人が未払い残業代などの支払いを求めていたものです。

これについて、一審の東京地裁での判決では、みなし労働時間が適用されると判断されていました。

ところが、控訴審では一転、これを変更してみなし労働時間の適用は認められないとされたようです。

裁判では、添乗員は実際の業務内容について、出発や到着時刻などを正確に記載した日報を会社に提出することが義務付けられていたと指摘しています。

そのうえで、「労働時間を算定し難いとは認められない」と判断し、未払いとなっている1人当たり計約640万円〜約210万円を支払うよう会社に命じました。

これに対して阪急トラベルサポートは「添乗業務の実態からかけ離れた判決で、到底承服し難い。上告する」とコメントしているとのことです。

添乗員については同種の裁判が別に起こされていますが、昨年9月の東京高裁でも適用が否定されています。

最高裁での判断が注目されるところです。


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2012年02月13日

育児休業取得を理由の解雇は無効、慰謝料165万円

育児介護休業法では、弟10条において「事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と規定しています。

その他の不利益取扱いとなる事例としては、降格すること、減給または賞与等において不利益な算定を行うこと、不利益な配置の変更を行うこと、就業環境を害すること、などがあげられます。

いずれにしても、育児休業を申し出たり、取得をしたことを理由とする不利益な取扱いをすることは認められないということです。

このほど、さいたま地裁であった訴訟の事例は、埼玉土地家屋調査士会の元社員の女性が育児休業取得を理由とする解雇は無効と訴えたものです。

妊娠後、この女性が切迫流産の危険があったため数日間休んだところ、同会役員らに退職を勧められたようですが、産後休業・育児休業取得後に復職したところ解雇されたというものです。

女性は、これを不服として解雇無効などを求めて訴訟を起こしました。

これに対して同会は、女性の請求を認める「認諾」を表明し審理が終結したということです。

原告側の弁護士によると、職場復帰と同会と同会会長が慰謝料165万円を女性に支払うことが決まったようです。

明確な違法措置ですから、当然といえば当然の結果なのかもしれません。

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2012年01月19日

競業避止義務契約は無効(東京地裁判決)

最近は、企業秘密の漏えい防止という観点から、退職後にライバル企業に就職したり自ら会社と競合する仕事をすることを禁止する契約を結ぶことが増えてきています。

ただ、このような取り扱いをすることは憲法第22条で規定されている職業選択の自由に反するおそれがあります。

これが有効と認められるためには、それなりの条件が揃っていないと難しいのではないかと思われます。

13日に東京地裁で判決があった事案では、競合他社への転職を禁止する契約は、職業選択の自由を侵害するものだとして無効とされました。

この事案は、外資系生命保険会社の執行役員が退職後に競合会社に就職したことを理由として契約違反だとして退職金を支給しなかったものです。

会社とこの執行役員の間には、「退職後2年以内に競合他社に就業するのを禁止し、違反した場合は退職金を支給しない」という旨の契約があったということです。

この規定の有効性が争われていたわけですが、東京地裁はこれを無効と判断しました。

この執行役員は、保険商品を代理販売している提携金融機関への営業を統括していたようですが、機密情報に触れる立場になく、転職後は異なる業務に携わっていたとして外資系生命保険会社に損害はなかったとしています。

そのうえで、「転職先が同じ業務を行っているというだけで転職自体を禁じるのは制限として広すぎる。禁止期間も相当ではない」としました。

外資系企業では、こうした契約をするケースが多いようですが、原告側弁護士は「名ばかり管理職とされる執行役員の転職を安易に禁じることに警鐘を鳴らす判断だ」といっているようです。

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2011年12月26日

医師の当直勤務で分娩の処置などをすればこれは通常業務

最高裁では労働時間について、使用者の支配下におかれた時間としています。就業規則や労働契約書で定めている時間だけが労働時間という訳ではないということです。

よく問題になるのは、着替えの時間です。着替えは時間外に行うとしていても、それが使用者の支配下におかれた状態だと判断されれば労働時間になるということです。

また、夜間勤務の場合の仮眠時間についても労働時間であると判断された裁判の事例もあります。

これに類似したものとして、医師の当直勤務があります。

当直勤務については、大阪地裁において割増賃金が支払われる「時間外労働」にあたるとした判決が出ています。

この裁判では、「入院患者の正常分娩や手術を含む異常分娩への対処など、当直医に要請されるのは通常業務そのもので、労働基準法上の労働時間と言うべきだ」としました。

愛知県でも、刈谷豊田総合病院(愛知県刈谷市)に勤務していた女性医師が病院を経営する医療法人豊田会に割増賃金の支払いを求め訴訟を起こしていたようです。

この事案では、女性医師が求めていたほぼ全額の280万円を病院が支払うことで双方が合意したということです。

16日までに名古屋地裁で和解が成立しました。

医師の当直勤務も、何かあれば対応を求められる訳ですから、いわゆる手待ち時間になるでしょう。

手待ち時間は、労働時間ということですから、実際に分娩の処置や帝王切開手術などをしたのであれば、これは通常業務ということになります。

したがって、これに対して割増賃金を支払うのは当然だということになるのではないでしょうか。

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2011年12月14日

受動喫煙で健康被害を受けたと積水ハウス社員が会社を提訴

最近は会社内での禁煙措置をとるところも多いのではないでしょうか。喫煙による健康被害を防ぐためといえるでしょう。

喫煙による健康被害は、喫煙者だけとは限りません。周囲の人を受動喫煙で巻き込むおそれもあります。

そうしたことから、企業においても禁煙対策が求められているところです。

そんな中、職場での禁煙対策が適切なものでなかったために健康を害したと積水ハウスの社員が会社を提訴しているようです。

訴えを起こしたのは、滋賀県の工場のミシン室で作業服の修繕などを担当していた女性社員だということです。

工場には喫煙室があったようですが、冷暖房設備のあるミシン室で喫煙する社員が多かったためにこうした事態が生じたということでしょう。

そのため、女性は頭痛やめまいに悩まされ、2009年7月にたばこの煙に敏感に反応する化学物質過敏症と診断されました。

この女性は、上司に改善を求めたということですが、自身も喫煙者である上司に受け入れてもらえませんでした。

その後、ミシン室は禁煙にされましたが、シックハウス症候群の問題に取り組む会社であるにもかかわらず、社内の有害物質対策を怠っていた責任を問いたいと、会社に対して約590万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたものです。

職場の受動喫煙に関しては、社員から約2300万円の賠償を求められた会社が700万円を支払って和解した例などが過去にあるということです。

禁煙対策を怠ると、こうした問題が発生するおそれがあるということでしょう。
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2011年12月01日

定年後再雇用拒否は合理的(神戸地裁判決)

高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用確保義務を定めています。ただ、その場合は定年延長、定年廃止、継続雇用制度のいずれかによることとしているところです。

一般的には、継続雇用制度でなおかつ再雇用をすることが多いのではないかと思います。この場合も労使協定を締結することで一定の条件をつけることができます。

この条件は、客観的で具体的であることが求められています。通常は過去数年間の人事考課結果であるとか健康状態などを条件としているのではないでしょうか。

設定された条件に該当しなければ、継続雇用制度の対象から除外することができるということになります。

ただ、この条件をめぐってトラブルになることもあるのではないかと思います。25日に判決のあった神戸地裁で争われていた事案もその一つです。

この事案は、定年後の再雇用を希望していた社員に対して、「コミュニケーション能力に乏しい」として会社側がこれを拒否したものです。

その理由として、職務能力などに関する現役社員へのアンケートで点数が低かったことをあげています。

これに対して、当該社員が地位確認と給与支払いを求めて争われていたものです。

判決では、「アンケートは協調性の物差しの意味で有意義だ」としました。また、会社はアンケートによる点数を通知し、改善すべき点を伝えながら実施していたことから、裁判では「継続雇用制度の理念からさほど離れていない」と述べています。

そのうえで、会社の再雇用規定は合理的だと認めました。

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2011年11月10日

派遣切りは信義則に反するとして慰謝料を命じる(名古屋地裁判決)

欧州危機がなかなかおさまりません。2008年のリーマンショックに似た状況にあるといえるような気もします。

リーマンショックでは、多くの派遣社員が契約を打ち切られて社会問題化したところです。なかには、いまだにそれをひきずっている人もいるのではないでしょうか。

名古屋地裁で2日に判決のあった事案も、リーマンショックをきっかけに派遣契約を打ち切られた派遣社員が慰謝料の支払いを求めていたものです。

この裁判は、三菱電機名古屋製作所で働いていた36歳〜45歳の男女の元派遣社員3名が起こしたものです。

判決では、「リーマン・ショックで雇用情勢が厳しい中での突然の派遣切りで、経済的、精神的な打撃は甚大。派遣先として信義則違反の不法行為が成立する」と述べたということです。

また、2名については、請負社員として派遣された偽装請負だともしています。

裁判所は、これについて「労働者派遣法の規制をないがしろにしながら、自社の生産の都合で派遣契約を中途解約し、身勝手だ」と判示しました。

そのうえで、計140万円の慰謝料の支払いを命じています。

ただ、社員としての地位確認については認めませんでした。

確かに、派遣社員の側としては、突然の契約解除は寝耳に水でしょうし、納得できないということになるでしょう。

一方、企業の側にも言い分はあるのかもしれません。派遣契約はあくまで派遣会社との間のものであり、派遣社員との間の雇用契約ではないからです。

結局は、その点が常に争点になるところではないでしょうか。

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2011年11月07日

システムエンジニアに裁量労働が認められず(京都地裁判決)

周知のように裁量労働というのは、働く時間や働き方について労働者本人の裁量に委ねるものです。

そのうえで、労使協定等であらかじめ定められた時間を働いたものとみなすものです。いわゆるみなし労働時間が適用されるということになります。

裁量労働制には、専門業務型と企画業務型の2つのタイプがあります。専門業務型はシステムエンジニアなど19業務が指定されています。

一方の企画業務型については、業務は特に指定されていませんが、企画、立案、調査、分析の仕事がこれに該当するとされているところです。

今回、京都地裁に訴えていたのは、システムエンジニアとして働いていたエーディーディーという会社の社員です。

この社員が、裁量外の労働をしていたとして、会社に残業代など約1,600万円を求めて訴えを起こしたものです。

前述したように、システムエンジニアであれば労使協定で定めた時間分の賃金を支払えば足りるということになりますが、裁量外の労働があったために裁量労働には当たらないと訴えたという訳です。

これに対して、京都地裁は、システムエンジニアとして採用されていたが、裁量が認められないプログラミングや営業活動に従事していたと指摘しました。

そのうえで、裁量労働の「要件を満たしていると認められない」と判断したということです。そして、約1,140万円の支払いを命じています。

やはり、実態の労働が問題にされた裁判といえるのではないでしょうか。

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